戦争×アナキスト
イベリア半島編:印刷工アンセルモ・ロレンソ
2020年に掲載した感染症×アナキストが好評だった海老原弘子さん。この「戦時下」に新しい論考を寄稿していただきました。題して「戦争×アナキスト」。第一回「欧州編:電気工エッリコ・マラテスタ」に続いて、第二回「イベリア半島編:印刷工アンセルモ・ロレンソ」を掲載します。全3回予定。
戦争反対を叫ぶのではなく、戦争を不可能にしなければならない
ルシア・サンチェス・サオルニル
アナキズムの祖父の遺言
1914年11月ブリュッセルでエリゼ・ルクリュの蔵書が待ち受ける運命も知らずに眠りについていた頃、スペインでは老いたアナキストがその主に思いを馳せながらテキストと向き合っていた。彼は印刷工アンセルモ・ロレンソ。マラテスタと同じように第一次世界大戦開戦以降のクロポトキンの変節に心を痛め、アナキストの伝統「反戦」を訴えるために最後の力を振り絞った。しかしながら、最期の時は迫っており、そのテキストを完成させる前にエリゼの元へと旅立つことになる。
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