2018年アナキズムカレンダー刊行!

恒例のアナキズムカレンダー2018年版を刊行いたしました。テーマは「マフノ叛乱運動100年」。 「マフノ叛乱運動」(正式には「ウクライナ革命叛乱軍」、ロシア語で「マフノフシチナ」)は、1918年から1921年まで、ネストル=マフノがボルシェヴィキ(赤軍)、白軍(デニキン軍・ウランゲリ軍)、民族主義者(ペトリューラ軍)といったあらゆる抑圧者に対して労働者の自由のための闘争を展開した総称です。

運動の原動力は、マフノというカリスマ性ある人物にあるのではなく、自主管理というアナキズム思想に基づいていました。今回は図版だけではなく、マフノ軍による実際のアピール文なども多く掲載し、マフノ運動の思想を辿れるようにしました。

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〈コラム〉建立委員会ニュースで見る 大杉栄らの墓誌ができるまで

静岡に大杉栄の墓があると知ったのはいつ頃だろうか。学生時代(90年代前半)に墓前祭実行委員会が出した冊子を読んでかと思う。インターネットがまだない時代、その冊子に掲載された2枚の写真と「沓谷霊園」という名称だけを頼りに、静岡市まで墓を探しに行って、お参りしたのが懐かしく思い出される。

当文献センター書庫で資料探しをしていたところ、「大杉栄らの墓誌建立委員会ニュース」(1976年)1号〜4号を見つける。思えば、このニュースを見るまで荒畑寒村による碑文が刻まれた墓誌(碑文は下段に掲載)がいつ誰の手によって建てられたのか知らなかった。というわけで、このニュースとともに墓誌建立の経緯を振り返ってみたい。

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『文献センター通信 40号』発行

『文献センター通信 40号』発行いたしました。
今号の主な掲載記事は以下の通りです。
なお、9月16日の大杉栄らの墓前祭に合わせて掲載した「〈コラム〉建立委員会ニュースで見る 大杉栄らの墓誌ができるまで」をWebでも同時公開しています。ぜひお読みください。

編集部「大杉栄・伊藤野枝・橘宗一 墓前祭 今年も名古屋、静岡で」
編集部「〈コラム〉建立委員会ニュースで見る 大杉栄らの墓誌ができるまで
編集部「追跡・新居格文庫」
編集部「〈予告〉シンポジウム「ロシア革命100年、11月または12月開催予定」
武智忍「連載:即決力が武器 仮処分 大阪地裁・ミサイル問題で原発停止 審理中」

など。今号は編集部発の細かな情報多めです。

*訂正
6ページ「〈予告〉シンポジウム「ロシア革命一〇〇年」11・12月開催予定」記事中の日程ですが、日曜ではなく、土曜の間違いです。お詫びして訂正します。

主な取扱店は、イレギュラー・リズム・アサイラム(新宿)、模索舎(新宿)、古書りぶるりべろ(神保町)、CRY IN PUBLIC(静岡県三島市)、水曜文庫(静岡市)、三月書房(京都)、INFO SHOP 大都会門司港(北九州)です。

【寄稿】「監視社会」フランス編〜ガブリエルからの手紙(フランスより)

こんにちは、皆さんに初めて手紙するガブリエルです。
皆さん、もし「アナキスト文献センター、隠しカメラで監視されてるってよ」って聞いたら、え?ってなりますよね。は?どゆこと?どゆこと!なんなんソレどゆこと!ってなったアナタにも、ならなかったアナタにも聞いてほしい。

2015年5月、様々な人々の協力に寄ってアナキスト図書室、ラ・ディスコーディアがパリ19区にオープンしたんだよ(編集部注*)。毎週月曜日の16―20時だけに開いててさ、正に「アナキスト文献センター」の様に完全寄付で運営やってて、月曜日に来れない人は連絡して~っていう感じで……ええよね、こういう場所って。

そんなラ・ディスコーディアのメンバーが何かヤバくね?ってなったのが9月下旬やった。っていうのも、アナキスト図書室ラ・ディスコーディアの直ぐ向かいには、学校があるんだけど、どうも学校側から監視されてんだよね。え?ってなったでしょ、いま。もっと具体的に言うよ。

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【寄稿】足立元:アナキズムとアート 最近の動向から

◇はじめに
一見親和的に見えるアナキズムとアートの関係には、微妙なところがある。自由・平等・相互扶助を理念とするアナキズムは一種のアート(表現)だと言えるかもしれないが、一方で、アートは必ずしもアナキズムではないからだ。どんなアートにも多かれ少なかれプロパガンダの要素があるし、業界の中でしか通用しないモノもあるし、中には劣悪なと言っても過言ではない商業主義もある。つまり、アートは必ずしも社会を変えるような運動体ではないし、思想を伴うものではない。

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『文献センター通信 39号』発行

『文献センター通信 39号』発行いたしました。
今号の主な掲載記事は以下の通りです。
なお、足立元さんの「アナキズムとアート 最近の動向から」は現在開催中の展示会(「原子の現場」展:鞆の津ミュージアム)を紹介しているので、このWebでも同時公開しています。ぜひお読みください。

編集部「【新】文献センターだより(「八街だより」改題)」
足立元「アナキズムとアート 最近の動向から
武智忍「連載:歌の別れー大道寺将司「反日・狼」を名乗った戦士、俳人の死を悼む」
ネストル・マフノ(森川莫人 訳)「ウクライナの一〇月大革命」
成田圭祐「ヨーロッパ・スクウォット/自主管理スペース・ガイド③Can Masdeu(バルセロナ=カン・マスデウ)編」
編集部「新刊紹介:ティヴァダル・ソロス著、ハンフリー・トンキン編(監訳・山本明代、訳・三田地昭典、コーディネーター・安藤紫)『仮面のダンス』現代企画室」

主な取扱店は、イレギュラー・リズム・アサイラム(新宿)、模索舎(新宿)、古書りぶるりべろ(神保町)、CRY IN PUBLIC(静岡県三島市)、水曜文庫(静岡市)、三月書房(京都)、INFO SHOP 大都会門司港(北九州)です。

【インタビュー】CGT国際関係書記アンジェル・バスケ(海老原弘子訳)

CGT国際関係書記アンジェル・バスケ

――スペイン革命の最も重要な遺産は何でしょうか?

重要なものは大きく二つあったと思います。第一に革命は一面的なものではないと示したことです。一瞬の爆発となることもあるものの、多くの場合、革命勃発の前に前段階のプロセスがあるのです。したがって、これを理解することはとても大切です。革命とは爆発の瞬間であると同時に、それが練られていく前段階の全てを含むものなのです。

その点に関して、スペインの社会革命が私たちに教えてくれるのは、クーデタ発生以前から、30年以上も前から、不当な状況に抗議しながら啓蒙や準備を行い、社会への介入を継続してきた人々が数多くいたことです。これが徐々に組織を生み出していき、個別に行われた議論や活動の中から、代替案を提示する包括的な動きが生まれました。身を護るためだけではなく、何かを構築しようとしたのです。

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『文献センター通信 38号』発行

アップが遅くなりましたが、『文献センター通信 38号』発行いたしました。巻頭は神戸のアナキズム運動を担ったエスペランティストでもあった前田幸長さんの追悼特集。神戸在住の平山忠敬さんによる「神戸の前田さん〜神戸アナキズム運動素描」は戦後の神戸における運動を簡単に振り返ったもので当事者による貴重な記録です。
その他、3月に新宿のイレギュラー・リズム・アサイラム(IRA)で開催された『アナキズム入門』(森元斎著)出版記念トークイベントの報告、フランス在住のガブリエルさんによる「伊藤野枝さんへ」などを掲載しています。

主な取扱店は、イレギュラー・リズム・アサイラム(新宿)、模索舎(新宿)、古書りぶるりべろ(神保町)、CRY IN PUBLIC(静岡県三島市)、水曜文庫(静岡市)、三月書房(京都)、INFO SHOP 大都会門司港(北九州)です。

ヨーロッパのスクウォット/自主管理スペース・ガイド(1)

KUZEB(スイス・ブレムガルテン)編

<KUZEB(スイス・ブレムガルテン)編>

KUZEB(KulturZentrum Bremgarten)は、スイス・チューリッヒ近郊の町ブレムガルテンにある自主管理の文化センターである。町の中心に位置し、ブレムガルテン駅からは徒歩1分もかからない。隣にはブレムガルテン高校がある。
ブレムガルテンの河原に暮らしていたホームレスとヒッピー数人が寒さをしのぐために、大きな裁縫工場だった空き家をスクウォット(不法占拠)したことがきっかけとなり、90年にKUZEBはスタートした。

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2017年アナキズムカレンダー発刊!

アナキズムカレンダー2017

 恒例のアナキズムカレンダー2017年版を刊行いたしました。テーマは「石川三四郎とルクリュ」。石川三四郎は大逆事件後、「冬の時代」の日本を脱出、フランスのルクリュ一家とともに百姓生活を送ります。この生活が石川の思想を深化させました。8年あまりの亡命生活を経て、日本に帰国した第一声が「土民生活(デモクラシー)」。日本で土民生活の実践を求めて、ようやく見つけた東京郊外・千歳村の土地に「共学社」と看板を掲げてから来年で90年になります。

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